30代のフォークファンはこんなフォークソングを聴いてきた

フォークミュージックを好きな30代は沢山いるんでしょうが、微妙な立ち位置に立たされているのが30代のフォークファンであるのも事実です。往年のフォークソングに馴染みが深いのは、40代後半から50代の世代でしょう。イルカ、吉田拓郎、かぐや姫、さだまさし、日本を代表するフォークシンガーが生まれたのは、今の30代世代よりもっと前の出来事です。30代でフォーク好きな人の多くは、誰かの影響を受けて好きになった人も多いのではないだろうか。

「この曲が好き」「この歌手が好き」なんて言ってるフォーク好きの30代の大半は、リアルタイムで聴いたことがない世代です。カセットテープで聴かされて、昔の音源や映像を見て憧れを抱くパターン。30代のフォーク好きを否定する気は全くありませんが、意外と知識も乏しいケースが多いようです。

もちろん、現役で活躍されているフォークシンガーも沢山います。吉田拓郎さんや長渕剛さんなんかは、雰囲気はガラリと変わりましたが、一線で活躍するアーティストでもあります。

フォーク好きの人と話す時に重要なのは、グループや歌手の名前だけでなく、いつの時代かも大事になってきます。CHAGE and ASKAもデビュー当時は、フォーク色の強いグループでした。長渕剛もデビュー当時は、ロングヘアーで透き通るような声で歌っていました。ハスキーボイスで歌うようになったのは最近のことです。

また、同じフォーク好きでも「この歌手は好きだけど、この歌手は嫌い・・・」というのが、フォークファンの特色でもあります。これは、プロのフォークシンガーの間での確執も原因のひとつでしょう。古くからの中島みゆきのファンは、ユーミンが嫌いだったりします。吉田拓郎のファンは、他のフォークシンガーを毛嫌いしたりもします。

意外に話題作りが大変なのが、このフォークファンです。また、アコギを弾いて歌えばフォークソングと言うわけでもありません。斉藤和義、山崎まさよし、ゆず、これらのミュージシャンはフォークというジャンルに括ることはできません。本当のフォークファンから見ればフォークですらないかもしれません。まぁ自分も、斉藤和義はロック、山崎まさよしは歌謡曲、ゆずはポップスと勝手にジャンル分けしてます。中島みゆきは歌謡曲という意見が大半かもしれませんが、自分の中ではフォークシンガーです。

時代が変化しても、変化をしなかったのがフォークソング。街で流れるフォークソングの歌詞を、今の生活と照らし合わせてみると滑稽にも感じる程です。「今どき、そんなヤツいないよ・・・」というのがフォークソングの歌詞。でも、不思議と親しみや懐かしさを感じるのも昔のフォークソングの良さでもあります。

最近の、多重録音や打ち込みばかりで作られた音楽が主流となった日本音楽シーンで、フォークをきっかけに話題作りをするのには少し無理があるのかもしれません。

しかし、フォークには心に残る“なにか”があります。話題作りの為ではなく、真剣にフォークソングに耳を傾けることを強くオススメします。