音楽好き30代が勝手に抱く、現代音楽への印象と小言

音楽が好きな学生がバンドを始めて、卒業と同時に上京。アルバイトで生計を立てながらも、小さな事務所と契約をしてCDを発売。事務所の方針と合わずCDセールスも悪かった為、事務所に居づらくなって事務所を辞める。その後、2枚目のCDをインディーズで発表するものの全く売れず。。。気付けば、サラリーマンになっていて、仕事が忙しくなりバンドも解散。よくある話ですが、そんな20代をおくってきました。

30代になってからは、結婚をして子供も産まれたこともあり、音楽とはさっぱり無縁になってしまいました。今は音楽好きの普通のおじさんです。

そんなおじさんは、現代の音楽シーンを見て、少し寂しく感じたり、不安になってしまう事があります。

ひとつは、カリスマ性のあるバンドが少なすぎることです。「パッと出てはパッと消えていく」よく、一発屋やなんかを表現する時に使う言葉ですが、昔の一発屋に比べて圧倒的にセールスが少なすぎることです。

また、カリスマ性を兼ね揃えた実力派バンドが、メディアに出難い時代になったように感じます。インターネットの普及は、音楽の可能性を飛躍的にアップさせてくれる印象がありますが、果たしてそうなのでしょうか?

テレビなどの地上波に出なくても、ネットを使って簡単に全世界に発信できる。雑誌で紹介されなくても、ブログなどでいくらでも紹介することができる。これは、チャンスを与えられなかったバンドにとっては、良いことなのかもしれませんが、誰でも簡単にできてしまうというのは少し考えようです。一般的に選ばれるカリスマ性や実力がなくても、本物のアーティストと同じ土俵に上がれるのですから。

もちろん、実力不足のバンドは、どんなにネットで露出をしたところで、最終的には埋もれてしまいます。最後まで残ったバンドは、その後は日本や世界で脚光を浴びるのかもしれませんが、そのバンドをネットで見つけるには、かなりの時間と努力が必要です。ネットを捨てて地上波だけを頼りに情報を得ようとしたところで、昔のような質と量の音楽番組が無いのですから、“アイドル”と“お笑い”をメインとした娯楽番組を見て終わりになってしまうことがほとんどでしょう。

ネット上で曲の配信ができるようになったことで、CDは全く売れない時代になりました。30代や40代の人のなかには、ネットならではの恩恵を受けながらも、ふとした瞬間に昔を懐かしむ経験をした人もいるかもしれません。

社会が変わっていくのですから、バンドの売り方も変わっていく必要があるのは当然ですが、流行に乗りすぎるバンドも考えようです。流行りだけを追い続けるバンドが多い時代になってしまいました。

録音技術や編集技術の向上もミュージシャンを育てるという面では、かなりマイナスです。上手に弾けなくても機械がサポートしてくれるんですから。実際に、最近のバンドは生で演奏を聴くまで、上手いか下手か全く分かりません。質の高い多重録音のせいで、そのミュージシャンが持っている実力以上の音が作れてしまうのですから当然です。ジャズやクラシックに路線を変える人の気持ちも分からなくはありません。

正直、バンドは演奏が上手ければ良いというわけではありません。下手も極めれば、それがバンドのカラーになるのです。何故、どのバンドもレコード会社も、必要以上の多重録音に頼るのでしょうか?少し疑問に感じます。

最近では、アマチュアバンドがプロ以上の演奏をしている動画を見ることも日常茶飯になりました。しかし、彼らがそこで満足しないかと、不安になってしまいます。ネットだけで終わらず、多くの場所で認知されて欲しいと本当に思います。